ヒダハタケ(Paxillus involutus)
スギヒラタケの急性脳症の話が出たとき、思い浮かべたのがこのきのこだった。 「日本の毒きのこ」(「きのこ図鑑のページ」参照)をみると、 「食後1〜2時間後に腹痛、嘔吐、虚脱、下痢が起こり、ひどい場合には溶血による黄疸、乏尿、腎臓の痛みなど臓器不全で死亡する。(以下略)」 などとある。 これだけでも恐ろしい記載だが、長岡技術科学大学の宮内教授によれば 「(前略)これまで述べたキノコは急性の毒性を持つものであるが、近年クローズアップされてきたのが、慢性の毒性である。茶褐色の地味なヒダハタケは、かつて食用とされたが、人間の抗体を少しずつ破壊する恐ろしいキノコであることが次第に明らかになってきた。 とのことで、「急性脳症」と「慢性の毒性」となんだか逆のことをいってみるようだが、何を言いたいかというと、 で、もう少し専門書を漁ってみた。 「ヒダハタケ(Paxillus involutus)は、生でも食べられるといわれている。日本、ヨーロッパでは死亡した報告がある。下痢は強烈であり、肝の脂肪変成、貧血、腎障害が報告されており、今後検討が必要である。 なんだか引用ばっかりになってしまった(汗)が、このようにきのこの毒性にはさまざまな性質のものがあり、科学的によく調べる必要があるということだけは間違いない。また研究の進展によって、現在食用とされているきのこが突然毒きのこになることがありうるということである。すなわちスギヒラタケが急に疑わしいきのこ(あえて毒きのことはいわないが)になってしまったのも、あながち驚くべきことではないかもしれない。 (2006年10月27日 作成) |