マツオウジ(Neolentinus lepideus)
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マツオウジは、分類上の位置づけがかなりややこしい(ややこしくなってきた)。
「日本の毒きのこ」(2003年)(「きのこ図鑑のページ」参照)では、本サイトに掲載されているような従来タイプのマツオウジを大きい写真で取扱いつつも、「本来の N. lepideus は、傘に比較的大きな鱗片を生じ、柄に膜質のつばを持つタイプである」として小さくつば有りタイプの写真も掲載し、「(柄につばがないタイプについては) N. lepideus とは異なり、分類学的に再検討が必要であると思われる」としている。
また「北陸のきのこ図鑑」(2005年)では、「ツバマツオウジ(仮) Lentinus lepideus」と「マツオウジ L. sp.」をそれぞれ独立した項目で掲載した。「従来 L. lepideus とされていたものに2種類含まれていることが発表され(引用文献番号)、学名や和名が混乱しているので、今回、(引用文献番号)と対比して、つばのあるものが L. lepideus に近いのでこれを当て、和名はもっとも特徴的なつばに注目してツバマツオウジ(仮)とした。したがって、つばのない方は和名を従来どおりマツオウジとし、学名は、L. sp. とした」としている。しかし、前者については「北陸では珍しく、今回の標本もカラマツの加工材であるため、自生しているか否かは不詳である」とも。
確かに、私もつばのあるタイプは新潟県内では見かけたことがない。Web で検索してみると、北海道・栃木県(日光)・長野県(湯ノ丸山)で出ているという。本州では標高の高いところ限定で発生している可能性がある。新潟県につば有りタイプが分布しているのかどうか、詳細なリサーチが必要だ。
(2009年12月26日作成)