マスタケ(Laetiporus sulphureus var. miniatus)
(若いときのみ)
私はこのきのこをマスタケと呼んでいるが、どうも疑問である。というのは、アイカワタケ(Laetiporus
sulphureus)との違いがはっきりしないからである。広葉樹に発生し、全体が鮮黄色であるものをアイカワタケ、針葉樹に発生し朱紅色のものをマスタケ、と呼ぶようであるが、いろいろ見解もあるようだ(注)。この件については、現在情報収集中であるので、ひとまず保留とし、わかり次第訂正したいと思う。生長し色褪せると、アイカワタケだけではなく、シロカイメンタケ(Tyromyces
sambuceus)とも紛らわしかったりするが、こちらは肉質が違うことで区別できる。
このマスタケ(らしききのこ、以下同様)は、若くて柔らかいうちは食べられるが、老成して堅くなると食べられない。わたしもこれまで、よく夏山で目にしていたが、たいていは堅くて食べられないものだった。 ようやく食べられそう、というマスタケを見つけたのが、上下の写真のうち、下の方である。まだ大きさ5cm程度の幼菌で、バターで焼いて食べたが、ちょっと柔らかい貝のような歯ごたえで、なかなか美味だった。 食用としてのマスタケは、ちょっときのこに詳しい人であれば認識しているのだろうが、採られているのをあまり目にすることがない。
マスタケの名は鱒(の身)のような色をしているから、と言われているが、生長するとだんだん色が抜けて白くなる。この鱒のような色は、薄暗い亜高山帯針葉樹林の中ではひときわ目立ち、食べる食べないはともかくとして、その存在感が私には好ましく思われる(単なる派手好きか?)。
(注)すばらしきキノコたちの総合掲示板に掲載された記事(2002年7月18日)にも少しショッキングな説明がある。 それによると、
(ここから引用)
DNAの塩基配列解析によれば、
日本産アイカワタケ = 日本産ヒラフスベ
日本産マスタケ ≠ 日本産アイカワタケ
日本産アイカワタケ ≠ 欧米産アイカワタケ
ということだそうです。日本のアイカワタケを
Laetiporus sulphureus
の学名で呼ぶことはできなくなり、ヒラフスベの学名は日本産アイカワタケの異名となるわけですが、では日本産アイカワタケの正しい学名は、ということになると、まだ決定されていないとのことです。
また、日本では、針葉樹を宿主とし、かさ表面が黄色で孔口面がオレンジ色を呈するものが時にあるようですが、これをマスタケとするかアイカワタケとするのか、まだ確定していないとのことです。
(ここまで引用)
何がショッキングかというと、ヒラフスベとアイカワタケがイコールになっていること。
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