クリタケモドキ(Hypholoma capnoides)クリタケモドキ(注1)は、クリタケに似ているが針葉樹に発生し、やや小型で黄色みが強い別種の食用(注2)きのこである。一見ニガクリタケを大きくさせたようなきのこにも見えるが、苦くない。 ・・・・・・こうして書くと、本種はクリタケ・ニガクリタケと簡単に見分けが付くように思えてしまうが、実際はそうではない。 クリタケは広葉樹に発生することで寄主が異なり・・・というが、クリタケも希に針葉樹に発生することがある。クリタケがオオシラビソの枯れ木に生えていたのを見たことがある(注3)。また、こいつら(クリタケ属)は、けっこう古い倒木にも住み着いているので、そうなれば針葉樹か広葉樹かもおぼつかない場合もある。 ニガクリタケは苦く、本種は苦くない、というが、生で囓った場合、どんなきのこでも熱処理したきのことは違う、“アク”というか、“キド味”のような「後味」をかすかに感じ、これが苦味に感じられる場合もある。ただ、ニガクリタケの強烈な苦味を一度でも味わったことがあれば、区別は付くと思われる。 ハエトリシメジのときに書いたが、きのこ同定の際には味覚は重要である。ただし、経験を積むことが不可欠である。苦味の感じ方はケロウジのときに記載したとおり個人差がある。そのため、間違いなく苦いと言われるケロウジやニガクリタケ、いわゆる”苦味の殿堂”、の苦味を一度経験した上で、他種の識別を味覚も用いて行なう、これが最強であると小一時間言っておきたい(注4)。 (注1)参考文献 「青森のきのこ」p.112 (→「きのこ図鑑のページ」参照) (2008年3月27日作成)
|