ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus(食)

 栽培ものが広く出回り、ブナシメジという名前で通っているかどうかは別として、今では認知度の高いきのことなった。

 「ぶなしめじ」という商品名が使われるようになったのはつい最近のことで、それまでは「ほんしめじ」とか「やまびこほんしめじ」とか呼ばれていた(ヒラタケが「しめじ」と呼称されていたように)。

 ブナシメジとホンシメジLyophyllum shimeji)は、同じキシメジ科であるが、属は異なり、全くの別種である。にも関わらず、誤解を与えるような商品名でこのきのこを世に広めた某N県(とその経済連)は、功も大きいが罪も大きいのかもしれない。

 ブナシメジは、分類上はシロタモギタケ属(Hypsizygus)に属する。同属は、日本ではシロタモギタケ(Hypsizygus ulmarium)とブナシメジの2種を産する。この2種は長らく混同されていたが、研究により別種であることが分かった。シロタモギタケは、ブナシメジに比べて報告が少ないようで、私もまだお目にかかったことがない。北海道には結構あるらしいのだが。

 ブナシメジは、傘表面にある大理石模様(亀甲模様)が特徴だが、傘が開いてくると不明瞭になり、終いには真っ白ののっぺらぼうになる。そうなると、何のきのこだか、ハタと迷うときがある(カヤタケ属のヒメシロタモギタケ Clitocybe lignatilis とも間違えやすい)。

 ブナなどの倒木(ときに生木)に発生するが、心材を好むようで、うろ(洞)などを探すとひっそりと出ていたりする。同じブナに発生するナメコが、倒木表面にびっしり生えていて目立つのと対照的である。いわばブナ林ではマイナーである。こんなきのこを商品化したのはすごい目の付け所だったのかも。

 オガクズ培地での栽培が行われているが、エノキタケ・ヒラタケに比べて栽培期間が長く、菌を植え付けてから収穫まで3〜4ヶ月を要する。一時期、味が苦い品種を某N県が作っていたため、ブナシメジが嫌いになった人も少なからずいたに違いない(今は苦くないので大丈夫)。

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ブナシメジ幼菌その1

幼菌1
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ブナシメジ幼菌その2

幼菌2
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ブナシメジ(成菌)

成菌
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養殖物

オガクズで
栽培したもの
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