ムラサキヤマドリタケ(Boletus violaceofuscus)図鑑を見ると、傘の裏側がスポンジ状になっているきのこ、いわゆるイグチ類(イグチ科・オニイグチ科)のきのこは多数掲載されている。その中でも、ひときわ存在感があるのが、ヤマドリタケモドキ、アカヤマドリと、本種ではないか、と思う。発生場所を知っていれば珍しくもないのだろうが、残念ながらまだ毎年ここに行けばムラサキヤマドリタケがある、という場所を筆者は知らなかった。 2001年、初めてムラサキヤマドリタケを自分で見つけた(下の写真1)。この場所は、いろいろなきのこが出ることを知っていたが、2000年に訪れたときは10月だったため、主な収穫物は、ナラタケ類、クギタケ等であった。2001年は9月に行ってみたところ、本種をはじめタマゴタケ・シャカシメジなど多種のきのこ(しかも10月とは全く構成種が異なる)を見ることができた。交通の便が悪いため、今年(これを書いているのは2002年)はおそらく訪れることはできないのが残念である。 ムラサキヤマドリタケは、傘・柄ともに暗紫色で、傘には黄色・褐色などの色がまだらに混じることがある(写真1には黄色のまだらがある)(注)。管孔ははじめ白色、後に黄色みを帯びる。柄は白色の網目模様がある。ブナ科を主とした広葉樹林の地表に発生する。 かつてヤマドリタケモドキが採れたときに、刺身(さっとゆでて氷水で冷やす)にしてわさび醤油で食べたところ、味と歯ごたえがなかなか良かった。昨年採れたムラサキヤマドリタケも、同様に味わってみることにした。柄はヤマドリタケモドキほどではないが、かなりしゃきしゃきしている。傘は全く別物で、ウニのような口当たり(食感)だった。味には癖がなかったので、いろいろな料理に合うのだろう、と思った。 注)発生時の湿度が高いと黄斑が生じ、低いと生じないと聞いたことがありますが、真偽不明です。 (2008年5月30日 写真7・8を追加)
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